ABAっていう発達障害の療育があるって聞いたけど、どんなものなんだろう?
ABAってどこで受けることができる?どこに相談したら良いのかな?療育利用するとき必要なものってあるのかな?
この記事はABAを始めようとされる方の疑問に答えます。
記事の信頼性について
筆者はABAの家庭療育を6年継続中。NPO法人つみきの会の会員で、講演会、勉強会等に参加。ABA療育に関して有識者の方々から様々なケースのお話を聞いてきています。
Contents
ABAの療育とは(初心者の方に向けて分かりやすく解説)
ABA(応用行動分析(Applied Behavior Analysis))とは
全ての人間に共通する行動の基本原理を理解。その考えに基づいて、発達障害を持つ子どもたちの行動を理解。→問題行動を減らし、適切な行動を増やす働きかけをするものです。
具体的なABAの療育の考え方と事例
ここで簡単にABAについての基本的な考え方と具体例をご紹介します。
強化 とはごほうびを与えて行動を増やすこと。
上記の例だとお手伝いをしたらほめられた。ほめられたこと(ありがとう、助かったわ〜など)=ごほうびになり、結果お手伝いをすることが増える。
そのほかにも行動の直後本人にとって嬉しいことがあればどんなことでも強化は起こります。
消去 とは何らかの行動の後にごほうびを無くし行動を減少させること。
上記の例だと、お手伝いをしたんだけど、お母さんがほめてくれない、何もいってくれない。ごほうびが無かったため、結果次からはやめるようになり、お手伝いをしなくなります。
罰 とは行動の直後に不快な出来事があるとその行動が減少すること。
上記の図だと、おもちゃの取り合いになり、友だちを叩くと先生から叱られてしまいました。それ以来叩くことは止めました。叱られたことにより、不快な気持ちになり、叩くことがなくなる。
簡単にABAの考え方についてお話ししました。
上記の例から分かりますように、行動の後に起こった出来事によって人は次どうしようか、判断する。
つまり、問題行動を起こすときにも同じと言えます。子どもの問題行動に対して上記の強化、消去、罰(極力使用はしない)の作用を利用して適切な行動に導いていくのがABAです。詳細はまた、『ABAの基本』で紹介させてもらおうと思います。
発達障害児の子育てをしていると、問題行動の原因を探すのが大変難しく、探せたとしてもどう対処するか頭を悩ませる場面が多々出てくるかと思います。
でも、困った時にABAセラピストの療育を受けていると日常生活、問題行動の中で特に困っている事例に関してアドバイスをもらったり、どう対処できるかを一緒に考えて提案して下さいます。子どもにとっても、ご両親にとってもぜひABA療育の体験をお勧めします!
ABAの早期療育するメリット
ABAは障害者療育、特に自閉症児への早期療育に非常に高い治療効果を上げています。
ABA先進国のアメリカ、UCLAのロバース博士の研究で2〜3歳児の自閉症児に対して週40時間のABA個別療育を2年以上にわたって行ったところ、19人中9人が知的に正常になり、付き添いなしで小学校普通学級に入学できたという研究結果があります。そのため、子どもの年齢が小さいほど改善がしやすいということがわかっており、できるだけ早期療育を行うことが良いと言われています。
そのほか、私の個人の見解ですが、
・療育を行う中で自分の子どもの発達段階をある程度把握できること。
(ex.運動能力、目で見たものを手で操る力、聞いた言葉に対して言葉や動作で応じる力などの実年齢を把握できる)
・把握できた結果を受けて我が子の強みをどう活かすか、何に注力するかを検討できる。
(ex.運動することが得意なら、野球、水泳、サッカー?勉強するのが苦にならないようなら塾に早く通わせてみようかなど 習い事をする際の検討材料になる)
以上のような早期療育するメリットが考えられます。
ABA療育を受ける場合、どのくらい費用がかかるのか? 通う頻度はどのくらいになるのか?
早期療育をするメリットはわかったとして、実際のところどのくらいお金がかかるのかと通うとなると週何回になるのかが気になりますよね。
先ほどのロバース博士の話だと、週に40時間となっていました。
ですが、現状日本のABAセラピスト資格を持った専門家は少ない状況です。さらに、令和元年度 通級による指導実施状況調査において公立私立小学校、中学及び高等学校の※通級に通う子どもの数が前年度123.095人→134.185人(11.090人増)となっています。ちなみに過去最高数値です。
※通級とは通級指導教室の略。小・中学校の比較的軽度の障害を持つ児童が通常級に在籍しながら、その子の障害特性に合った個別指導を受ける教室。支援級とは区別される。
そのため、受けられるかどうかはそれぞれの教室、施設の事情によって変わってくるかと存じます。
費用に関しても、お子さんの年齢、利用される施設(放課後等デイサービス、病院、民間の機関等)、サービス内容(個別療育・集団療育など)によって異なります。
習い事として利用する感覚なのか。できる限り我が子の能力を伸ばしてあげたいと考えるか。
それぞれのご家庭の事情、考え方あるかと思うので、利用しようとする施設に直接問い合わせするのが間違いないです。
ABAの療育はどこで受けることができるのか
先ほど話がでましたが、どこでABAって受けることができるのか?について。
日本では以下の施設で受けることができます。
・専門の医療機関(小児科、小児神経科等)
・児童発達支援事業所(小学校就学前の幼児対象)
・放課後等デイサービス(小学校〜高校まで対象)
・療育センター、民間の支援施設等 があります。
ただ、先ほどお話しした通り、ABAセラピスト資格を持つ専門家は毎年増えているものの、全国的にはまだ少なく、場所によっては受ける場所がない場合もあります。
(事実、私の住む和歌山南部では南和歌山医療センターにセラピストさんが現状一人だけしかいないです。)
そのため、
・一度お近くに医療機関(小児科、精神科、小児神経科等)に問い合わせる。
・検索サイトだとLITALICO発達ナビの施設情報で放課後等デイサービス、児童発達支援事業所、その他施設など調べることも可能です。
LITALICO(発達ナビ)の施設情報
紹介したものはほんの一部です。ここ最近、どんどん支援施設も増えてきています。施設見学をしてお子さんに合ったサービスを見つける手立てになれば嬉しいです。
まとめ
今回は、【初心者の方向け】ABA療育を受ける方法についてお話しました。
①ABAとは
発達障害を持つ子どもたちの行動を理解。→問題行動を減らし、適切な行動を増やす働きかけをするものです。
②具体的なABAの考え方の事例
⑴強化 ごほうびを与えて行動を増やす
⑵消去 ごほうびをなくし行動を減らす
⑶罰 不快な出来事を起こし行動を減らす
⑴〜⑶の作用を利用し、問題行動を減らし適切な行動を増やしていくのがABA。
③早期療育するメリット
ロバース博士の研究から、早期療育は良いと結果が出ていること。
日々療育をする中で自分の子どもの発達段階をある程度把握できること。
子どもの強み、弱みを把握でき、何を伸ばすかの判断材料が得られること。
④ABA療育を受ける場合、どのくらい費用がかかるのか?通う頻度はどのくらいになるのか?
費用や通う頻度は施設、子どもの年齢、どのサービスを利用するかによって千差万別。
直接問い合わせるのが最善。
⑤どこで受けることができるのか
専門の医療機関、児童発達支援事業所(小学校就学前の幼児対象)、放課後等デイサービス(小学校〜高校まで対象)、民間の支援施設等がある。
お住まいの都道府県、自治体によってどこで受けられるか変わってくるので、医療機関に直接問い合わせるか、ネットで検索する必要がある。
以上、5点でした。参考になれば幸いです。
参考文献:『イラストでわかるABA実践マニュアル-発達障害の子のやる気を引き出す行動療法』著者 藤坂龍司+松井絵理子 合同出版 2018年2月15日 第4刷発行
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